「鏡を見るたびに憂鬱になる」「皮膚科で薬をもらっているのに、一向に良くならない」――。 そんな悩みを抱えて、出口の見えないトンネルを歩いているような気持ちになっている方はいませんか?
実は、千里皮膚科を受診される患者様の中にも、「ずっとニキビだと思って治療してきたけれど、実は別の病気だった」というケースが少なくありません。 皮膚のトラブルは命に関わることは稀ですが、顔という目立つ場所に症状が出る分、心や生活の質(QOL)に深く関わる問題です。
今回は、なぜあなたの「ニキビ」が治らないのか、そして今選ぶべき正しい治療とは何なのかを詳しく解説します。
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そもそも「ニキビ」とは何なのか?
一般的に私たちが「ニキビ」と呼んでいるものは、医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という名前の疾患です。
ニキビが形成されるプロセス
ニキビは、主に以下の3つのステップで進行します。
- ①毛穴の詰まり: 角質が厚くなり、出口が塞がる(白ニキビ・黒ニキビ)。
- ②皮脂の蓄積: 出口を失った皮脂が毛穴の中に溜まる。
③炎症: 溜まった皮脂をエサに菌(アクネ菌)が増殖し、赤く腫れる(赤ニキビ)。
通常、保険診療では「毛穴の詰まりを解消する薬(アダパレンや過酸化ベンゾイル(BPO)等)」と「菌を抑える薬(抗生剤)」を組み合わせて治療します。(参考サイト:ニキビ一緒に治そうProject(マルホ))
しかし、ここで大きな落とし穴があります。「見た目がニキビにそっくり」でも、原因がまったく異なる病気が存在するのです。原因が違えば、どんなに有名なニキビ薬を使っても効果は出ません。
ニキビに“激似”な代表的疾患:見分け方と対策
「長年治療しているのに治らない」場合、以下の3つの可能性を検討しましょう。
① マラセチア毛包炎(カビによる炎症)
背中、胸、腕、あるいは額に「同じくらいの大きさの小さな赤いブツブツ」が均一に広がっているなら、それはアクネ菌ではなくマラセチア菌というカビ(真菌)が原因かもしれません。
- 【特徴】ニキビに比べて痒みを伴うことが多く、一つ一つの大きさが揃っています。
- 【治療】抗真菌薬(ケトコナゾールなど)の外用が第一選択です。
- 【セルフケアのポイント】
- ⚪︎清潔と乾燥:汗をかいたらこまめに拭き取り、シャワーで流しましょう。
- ⚪︎油分を控える:マラセチア菌は油分を好むため、油分の多いボディミルクやオイルクレンジングは控えめに。
- ⚪︎抗真菌成分配合の石鹸:ミコナゾール硝酸塩などが配合された市販の石鹸(コラージュフルフルなど)を補助的に使うのも有効です。
② 酒さ(しゅさ/大人の赤ら顔)
30代〜50代以降に多く、頬や鼻を中心に赤みが広がり、そこにポツポツと発疹が出る疾患です。
- 【見分け方】最大の特徴は、ニキビの初期段階である「コメド(白ニキビ・黒ニキビ)」がほとんど見当たらないことです。
- 【治療】メトロニダゾールやアゼライン酸の外用、重症ならビブラマイシン等の内服を行います。
- 【セルフケアのポイント】
- ⚪︎刺激の徹底排除:ピーリング剤やスクラブ、刺激の強いニキビ薬(過酸化ベンゾイル等)は赤みを悪化させます。
- ⚪︎徹底した紫外線対策:日焼けは酒さの最大の増悪因子です。低刺激の日焼け止めを年中欠かさないようにしましょう。
- ⚪︎血管を広げない工夫:激辛料理、アルコール、長風呂、サウナなど、顔が火照る行為は控えめに。
③ 大人ニキビ(周期性と部位の特徴)
20代以降、特に「顎やフェイスライン」に繰り返し、生理前などに悪化するのが特徴です。
- 【原因】ストレスや睡眠不足、ホルモンバランス(男性ホルモンの相対的優位)が深く関わっています。
- 【治療】通常のニキビ治療に加え、低用量ピルやスピロノラクトンによるホルモン療法、漢方薬などが検討されます。
- 【セルフケアのポイント】
- ⚪︎保湿重視のケア:思春期ニキビと違い、大人ニキビは「乾燥」によるバリア機能低下が原因です。洗顔しすぎず、セラミド配合の美容液などでしっかり保湿しましょう。
⚪︎睡眠とインナーケア:ターンオーバーを整えるため、ビタミンB群の摂取と、質の良い睡眠を優先してください。
なぜあなたの治療は「空振り」に終わるのか?
- ①診断のズレ:前述の通り、原因菌や病態がそもそも違う。
- ②強度の不足:炎症が強いのに、マイルドな塗り薬だけで粘りすぎている。
- ③期間の不足:肌の生まれ変わり(約28~50日)を待たずに、2週間程度で「効かない」と判断して中断している。
④摩擦の悪影響:良かれと思って行う「丁寧すぎる洗顔(こすりすぎ)」が、炎症を長引かせている。
当てはまるものがないか、ぜひ確認してみてください。
難治性ニキビ・赤ら顔を打破する「2大専門治療」
標準的な治療で改善しない、あるいは早期に完治を目指したい方へ、当院では以下の高度なアプローチを提案しています。
【内服】ニキビのサイクルを根絶する:イソトレチノイン
重症ニキビや、再発を繰り返す難治性ニキビに対する「グローバル・スタンダード」な内服薬です。ビタミンA誘導体の一種で、以下の4つの作用でニキビを根本から叩きます。
- ①皮脂腺の劇的な縮小:ニキビの元となる皮脂の分泌を強力に抑えます。
- ②角質化の正常化:毛穴の詰まり(コメド)ができにくい肌質へ変えます。
- ③アクネ菌の増殖抑制:菌が繁殖できない環境を物理的に作ります。
④強力な抗炎症作用:今ある赤みや腫れを速やかに沈めます。
⚫︎治療の目安:通常、半年程度の継続的な服用で、治療終了後も長期にわたってニキビができにくい肌質を維持することが期待できます。
⚠️注意点:非常に効果が高い反面、唇や肌の乾燥といった副作用や、妊娠中の方は服用できないなどの厳格なルールがあります。当院では医師による血液検査と定期的なモニタリングを行い、安全性を最優先に管理します。
【レーザー】炎症と赤みを同時に解決:アドバテックス(ADVATx)
「今ある炎症」と「残ってしまった赤み」の両方にアプローチできる、最新のデュアル波長レーザーです。
- 【革新的な2つの波長】
- ⚪︎589nm(黄色):異常に増殖した毛細血管をターゲットにし、ニキビの炎症や酒さ特有の「赤ら顔」を改善します。
⚪︎1319nm(赤外線):皮脂腺に熱を加え、過剰な皮脂分泌を抑制。さらにコラーゲン生成を促し、毛穴を引き締め、肌のキメを整えます。
- 【アドバテックスのメリット】
- ⚪︎痛みが少ない:従来の血管用レーザーに比べ、マイルドな照射感で麻酔なしでも受けられます。
- ⚪︎ダウンタイムがほぼゼロ:施術直後からメイクが可能で、日常生活に支障が出ません。
⚪︎ニキビ跡の予防: 炎症を早期に「無力化」することで、将来的なクレーター(凹凸)や色素沈着のリスクを大幅に軽減します。
納得してニキビ治療を受けるためのQ&A

Q:市販のニキビ薬で様子を見続けても大丈夫ですか?
A:軽度のうちは良いですが、長引く場合はおすすめしません。 ニキビは「跡を残さないための早期介入」が何より重要です。 自己判断でケアを続け、クレーター状の跡になってしまうと、治すのに多大な時間と費用がかかってしまいます。
Q:治療を始めると、すぐに肌は綺麗になりますか?
A:症状によりますが、適切な強度の治療を適切な期間続けることが大切です。 一時的に良くなったからと自己判断で薬を止めると、再発を繰り返す原因になります。
Q:大人になってからニキビがひどくなったのですが、体質ですか?
A:体質もありますが、ホルモンバランスやストレス、不適切なスキンケアが関与していることが多いです。 特にフェイスラインにできるものは、通常の外用薬だけでは改善しにくい傾向があるため、一度詳しく診察を受けることをお勧めします。
Q:イソトレチノインとアドバテックス、どちらが良いですか?
A:ニキビそのものが非常に重症で広範囲な場合は「イソトレチノイン」による内部からの治療が向いています。一方で、赤ら顔(酒さ)が混在している方や、ダウンタイムを避けつつ今ある炎症と赤みを早期に消したい方には「アドバテックス」が非常に有効です。併用することで、より相乗効果を発揮する場合もあります。
Q:アドバテックスは何回くらい受ける必要がありますか?
A:1回でも赤みの軽減を実感される方は多いですが、肌質を根本から整え、ニキビができにくい状態を維持するためには、3~5回程度の継続を推奨しています。
結びに:治らないときは、一度立ち止まって
もし今、あなたが「治らないニキビ」に立ち止まっているのなら、一度治療の方向性を見直す必要があります。
- ・それは本当に「ニキビ」なのか?
- ・今の薬は「今の肌状態」に合っているか?
・跡を残さないための「最善手」を選べているか?
ニキビ治療は、決して「ただの塗り薬」で終わる単純なものではありません。 正しい診断に基づき、適切なタイミングで適切な治療を行えば、必ず改善の道は見えてきます。
その悩み、一人で抱え込まずにぜひ千里皮膚科へご相談ください。 あなたの肌にとって最適なプランを、一緒に考えていきましょう!
監修医師紹介
院長
花岡 佑真
経歴
- 2005年智辯学園和歌山中学校・高等学校 卒業
- 2011年大阪大学医学部 卒業、関西労災病院 初期研修医
- 2013年関西労災病院 皮膚科
- 2015年大阪みなと中央病院 形成外科
- 2016年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 特任研究員(形成外科診療にも従事)、大阪国際がんセンター 腫瘍皮膚科
- 2018年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 特任助教
- 2020年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 病棟医長
- 2021年10月千里皮膚科 開院
資格・所属学会
- 日本専門医機構認定皮膚科専門医
- 難病指定医
- 日本皮膚科学会所属
- 日本形成外科学会所属
- 日本皮膚外科学会所属
- 日本皮膚悪性腫瘍学会所属
- 日本美容皮膚科学会所属






