形成外科

当院の形成外科について

当院の形成外科について形成外科とは、皮膚・皮下腫瘍(できもの)や体表面の外傷(けが)、熱傷(やけど)、傷痕(瘢痕)、爪の異常(爪周囲炎、巻き爪)などを外科的に治療する診療科目です。機能的な観点だけではなく、より目立たず綺麗な傷痕になるよう、整容的な観点も重視して治療を行います。これまでの経験を活かし、当院ではできものの治療に特に力をいれています。ほとんどの手術は、注射で局所麻酔をして、30分以内の手術時間で終わるもので、日帰りとなります。お気軽にご相談ください。
※目のたるみ(眼瞼下垂症)については、当院では治療していません。

診療する疾患例

ほくろ

ほくろほくろは「母斑細胞」というメラニンを作る細胞が増えることで発生します。特徴は、境界がはっきりしていて円形をしているのが通常です。加齢に伴って数が増え、また平らだったほくろも盛り上がってくる場合もあります。
ほくろは良性の腫瘍(できもの)ですが、まれに「メラノーマ」や「基底細胞癌」などの皮膚がんと区別が難しいことがあります。通常、10代までのほくろは心配する必要はありませんが、皮膚がんは年齢とともにそのリスクが増えていきます。
気になるほくろがあれば、ご相談ください。

検査

拡大鏡(ダーモスコピー)で観察し、悪性が疑わしい場合には切除して、顕微鏡の検査(病理検査)を行います。
また、精査が必要と思われる場合は、総合病院へご紹介します。

治療

メスを用いる方法とレーザーを用いる方法があり、それぞれに長所と短所があります。どちらの方法を選ぶかは、患者さまとご相談の上で決定させていただきます。

切除法

外科手術によるほくろの除去です。切除の際にできるだけ皮膚を傷つけず、丁寧に縫合することで傷跡をきれいに治します。体質にもよりますが、傷跡は年月をかけて徐々に目立たなくなります。脂肪織レベルまで切除するので、レーザー除去と比べると、再発の可能性は非常に低いのが、切除法のメリットです。病理検査で組織も確認できます。ケロイド体質の方は、切除法をおすすめします。

炭酸ガスレーザー

隆起した箇所にレーザーを照射することで、ほとんど出血することなくほくろの除去が出来ます。メスなどを用いた手術に比べて、ほくろの部分のみを除去できるので、傷跡も最小限で済みます。切除法と比較すると取り残しや再発の可能性はありますが、一度で瘢痕を残す覚悟で除去するのではなく、複数回かかったとしても低侵襲で傷跡をきれいに治療できますので、特に顔のほくろではおすすめです。
※自費診療となる場合があります。病理検査をする場合は保険診療です。

粉瘤

粉瘤皮膚の内側に袋状の組織が発達し、この組織内に皮脂やアカなどの老廃物が蓄積されることで生じるできもので、良性の皮膚腫瘍です。

症状

無症状で経過することもありますが、放置しているとサイズがどんどん大きくなり、野球ボールほどの大きさまで発達する場合もあります。
また細菌感染による炎症が起きた場合、触れただけでも痛みが生じるようになります。

治療

当院では、大きさ・炎症の有無によって、最も傷跡が小さく、きれいに治る手術を実施しています。
炎症がない粉瘤は、単純切除もしくはくり抜き法を行います。術後、適切な処置を行えば、およそ1〜2週間で傷は治ります。
炎症性粉瘤ではそのままでは外科的処置できないので、まずは抗菌薬で炎症を鎮めることから治療を開始します。

脂肪腫

脂肪腫は、良性腫瘍で臓器や骨以外の軟部組織に生じる軟部腫瘍の1つです。皮下の軟部組織に発生する腫瘍の中では最も多くみられる疾患で、脂肪の塊が薄い膜に包まれています。40~50歳、肥満傾向にある方に多く見られます。

症状

背中・肩・首など体の各部に発生し、自覚症状として現れるときは、皮膚のしこりや膨らみが出てきます。
多くは皮下脂肪組織にできるため、皮膚の上にまで盛り上がることは少なく、痛みもほとんど感じないため、発見が遅れることがあります。

治療

脂肪腫は、放置していても自然治癒することはありませんので、脂肪腫を覆っている薄い膜を切り出し、外科的に摘出する必要があります。
基本的には進行が遅いことが多いですが、ごく稀に悪性腫瘍に変化するものがあるため、摘出後は鑑別のために病理検査に出す場合があります。

皮膚がん

皮膚がん皮膚がんは、皮膚細胞に生じたがんの総称です。
基底細胞癌、有棘細胞癌、メラノーマ(悪性黒色腫)などがあります。
種類によって症状は様々ですが、初期には湿疹のような症状として現れたり、また一見ほくろと見分けが付けにくいこともあり、「皮膚上の変化に気づきながらも受診が遅れてしまう」というケースが見られます。
塗り薬を塗っても効果がない、あるいはほくろが急に大きくなってきた際には、決して甘く見ず、ぜひ気軽にご相談ください。

原因

皮膚がんの主な原因は、紫外線だと言われています。紫外線を浴びて遺伝子が傷つくことで、発がんのきっかけになります。
その他、喫煙、放射線、ウイルス感染、ヒ素の長期摂取なども、皮膚がんの原因となります。

種類
基底細胞癌

最も多い皮膚がんで、日光の当たる顔にできることが多いです。典型的には光沢のある黒い結節であることが多く、時間の経過とともに増大し、表面から血管が見えるようになり、破れて出血することがあります。皮膚がんの中では、転移も稀で予後良好とされていますが、ほくろと見た目がよく似ており、紛らわしい場合もあるため、ダーモスコピー(拡大鏡)で診断をつけ、手術により切除したりします。

有棘細胞癌(日光角化症を含む)

まず日の当たる部分である顔や手の甲に赤くガサガサした境界のはっきりした部分が出現します。この状態は「日光角化症」と呼ばれ、皮膚の浅い部分(表皮)にがん細胞がとどまっています。湿疹と間違えられてステロイドで治療されていることがありますので、ステロイドで治らない赤いガサガサのときには日光角化症を考える必要があります。
日光角化症を治療しない状態が続くと、皮膚の深い部分(真皮)までがん細胞が進んでしまい、「有棘細胞癌」と呼ばれる状態になります。ご高齢の方に起こりやすい皮膚がんでもあります。

メラノーマ(悪性黒色腫)

メラノサイトというメラニンを作る細胞が、がん化してできます。いわゆる「ほくろのがん」です。
ほくろの多くが5mm以下ですが、それ以上大きくなる場合には悪性黒色腫であるメラノーマの可能性があります。
非対称的な外観、不明瞭な境界、他のほくろと比較して色が濃い、大きさが6mm以上、30歳以上でほくろの見た目が変化した、サイズが大きくなった、出血するといった場合には注意が必要です。最もたちの悪い皮膚がんで、大型になるとリンパ節や体の各臓器に転移が進むことが知られています。なるべく早くに見つけ、手術で取り切ってしまうことが最良の治療になります。

検査

拡大鏡(ダーモスコピー)で観察し、診断します。
最終的な診断には皮膚がんの一部、もしくは全体を手術でとり、顕微鏡の検査(病理検査)を行うことが必要になります。

治療

いずれも最も確実かつ有効な治療は、外科的切除になります。取り残しのないように、一回り大きく切除することが大事です。
皮膚がんの種類によっては、液体窒素による凍結療法、外用療法などが有効な場合もあります。
転移を疑う場合、精査が必要と思われる場合は、総合病院へご紹介します。

イボ

イボは主にウイルス感染が原因で生じます。 正式名称は「疣贅(ゆうぜい)」と言い、様々な種類が存在しています。 大半はウイルス性イボですが、加齢・紫外線の影響を受ける老人性疣贅(脂漏性角化症)や、伝染性軟属腫ウイルスによって生じる水イボもあります。

原因

ほとんどの場合はヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)による感染によって生じます。 ヒトパピローマウイルスは実に100種類以上発見されており、その種類ごとにできるイボが異なる場合もあります。

治療

保険適応での治療は「液体窒素治療」と「イボ剥ぎ法」の2つがあります。

液体窒素法

−196℃の液体窒素をイボに噴霧し、イボ組織を冷凍し破壊します。治療後はしばしば色素沈着を起こす可能性がありますが、徐々に治ります。

イボ剥ぎ法

局所麻酔をかけてイボを外科的に摘出します。 液体窒素法と異なり、イボを丸ごと切り取るため1回の治療で完結する確率が高いです。 傷ができることがデメリットですが、形成手術を受けることできれいに傷跡を治すことも可能です。

老人性イボ(脂漏性角化症)

症状

老人性いぼ30代のころから出現し、加齢とともに増える皮膚の良性腫瘍です。医学用語では老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)もしくは脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)と呼ばれます。基本的に悪性化することはありませんが、見た目が気になる、日常生活で不都合を生じたりするようであれば治療しましょう。
手のひらと足のうら以外であれば、全身の皮膚どこにでもできます。とくに日光が当たる頭や顔に多く見られます。
色の濃さはさまざまで、皮膚と同じ色のものから黒っぽい茶色のものまであります。大きさは数mm~3cmくらいで、盛り上がりの程度もさまざまです。よく見ると表面がザラザラしているのが特徴です。炎症を起こして、かゆみを生じることがあります。

原因

加齢と紫外線が主な原因です。遺伝の影響もあると言われています。

治療

いくつか治療法がありますが、それぞれに長所と短所がありますので、どの方法で治療するかは、患者さまとご相談の上で決定させていただきます。

液体窒素による凍結療法

老人性イボに対するもっとも一般的な治療法です。ほかの治療法と違って麻酔を必要としません。簡単な治療ですが、軽い痛みが1~2日ほど続くことがあり、大きいと2、3回かかります。また、あまり強く凍結させると水ぶくれや血豆ができることもあります。ただし、水ぶくれや血豆ができるぐらいしっかり凍結させると、1回の治療で平らになります。治療後は少し炎症が起こるため、色素沈着が残る場合があります。

炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは、皮膚を表面から均一に浅く削り取ることができるため、1回の治療で、ほかの方法より綺麗に治すことができます。麻酔を行えば痛みもほとんどありません。術後は肌色の小さなテープで1週間ほど保護をします。
※自費診療となる場合があります。

外科的切除

傷跡は残りますが、ほかの腫瘍との区別が難しい場合は、メスで切除するのが一番良い方法です。

けが(怪我)

症状

怪我怪我に対する処置は、深さ、大きさ、組織損傷の度合い、汚染の程度などにより異なります。また、受傷機転により創部の性状が異なり、 ①切創(切り傷)、②擦過傷(すり傷)、③挫創・挫滅創、④刺創(刺し傷)、⑤咬傷(咬み傷)などに分けられます。
傷跡をできるだけきれいになるように治すためには、初期治療がとても大切ですので、なるべく早く受診してください。
入院が必要な大きい怪我の場合には、入院可能な専門病院と連携を図り治療を行います。

治療
切創(切り傷)

ガラス片や刃物など鋭利なもので切れたいわゆる切り傷です。
一般的に周囲組織の損傷は軽度であり、縫合処置等により早期治癒が期待できます。
出血が多い場合には、止血を目的とした縫合処置が必要であり、局所をガーゼ等で保護・圧迫挙上しつつ、できるだけ早く病院を受診して下さい。

擦過傷(すり傷)

道路のアスファルトや塀などにこすりつけることにより、皮膚が擦り剥けた創傷です。皮膚損傷は浅く、多くの場合縫合せずに治ります。しかし、創面に微細な土砂、ゴミなどが入り、治ったあとも皮膚の中に残ってしまう場合がありますので、受傷後早期に創部の十分な洗浄・ブラッシングを行ない、細かな異物を除去しておくことが大切です。

挫創・挫滅創

鈍的外傷により生じた皮膚の損傷であり、切創に比べて創部周囲の損傷が高度なことが特徴です。創縁の損傷の程度により、治癒に時間がかかることがあります。傷んだ組織を切除して縫合したり、汚染がひどい場合は初期治療時に抗生剤の内服や十分な洗浄を行なう必要があります。

刺創(刺し傷)

刃物や釘のような先端が鋭利な器具が突き刺さって生じる創で、創口が小さくても奥行きが深いのが特徴です。異物が残っている場合には摘出が必要です。また深部におよんだ場合には血管損傷や神経損傷、さらには重要な臓器損傷の可能性があります。

咬傷(咬み傷)

動物に咬まれた後に生ずる創傷で、歯型に合致した創口の形態が特徴的です。
歯牙に付着している雑菌が組織内に押込められることにより、受傷後感染の頻度が最も高い創傷のひとつです。ですので、すぐに傷を閉じると、膿んでしまうことがあり、一般的には、感染を引き起こさないよう、十分な洗浄、抗生剤の投与などを行い、傷は閉じずに保存的に治療します。

きずあと(傷跡)

症状

傷跡怪我や手術などで皮膚の真皮まで損傷を受けると傷跡として残ります。
傷跡は完全には消えませんが、目立つものや凸凹、ひきつっているものなどは形成外科の技術を用いて目立たなくすることが可能な場合があります。傷の状態により治療法は様々ですので、一度ご相談ください。

傷跡の種類
肥厚性瘢痕(ケロイド)

傷痕が赤く盛り上がり、時にかゆみや痛みを伴います。傷跡が成長し、徐々に拡大することもあります。胸や肩、上腕など骨の直上で皮膚に緊張がある部位に好発します。

瘢痕拘縮

ひきつれのある傷痕のことです。手やわき、関節部位に多く、関節の機能障害を引き起こす場合があります。

治療

当院では、“痛くない治療”を心がけながら、治療方法を使い分け、傷痕を治療いたします。

圧迫

テープ、スポンジ、サポーター、シリコンゲルシート、コルセットなどによる圧迫をおこなうことで固定と患部の安静を保ちます。

外用

ステロイド剤の入ったテープや、ステロイド軟膏を使用します。

局所注射

ステロイド剤をケロイドに直接注射する方法です。

内服

トラニラストという抗アレルギー剤で効果が認められることがあります。膀胱炎に注意です。

レーザー

血管の数を減らすレーザーが有効とされていますが、現在では健康保険を適用しての治療はできません。

手術

W形成術やZ形成術といった形成外科独特の手術方法です。

放射線

電子線を当てることがあります(連携病院に紹介いたします)。

手術実績

2022年度 手術実績

手術名 件数
皮膚・皮下腫瘍摘出術(粉瘤、ほくろ、いぼ等) 867
炭酸ガスレーザー(自費でのほくろ除去など) 27
皮膚悪性腫瘍切除術(皮膚がん) 5
皮膚切開術(炎症性粉瘤など) 179
皮弁作成術・移動術・切断術・遷延皮弁術 6
陥入爪手術 11
創傷処理(外傷の縫合など) 44
耳介形成術 1
眼瞼結膜腫瘍手術 1
レックリングハウゼン病偽神経腫切除術 5
デブリードマン 5
骨腫瘍切除術 1
先天性耳瘻孔 1
合計 1,153件

2021年10月~2022年9月
開業後1年間の手術実績

手術名 件数
皮膚・皮下腫瘍摘出術(粉瘤、ほくろ、いぼ等) 663
炭酸ガスレーザー(自費でのほくろ除去など) 39
皮膚悪性腫瘍切除術(皮膚がん) 6
皮膚切開術(炎症性粉瘤など) 107
皮弁作成術・移動術・切断術・遷延皮弁術 6
陥入爪手術 9
創傷処理(外傷の縫合など) 36
甲状舌管嚢胞摘出術 1
耳介形成術 1
眼瞼下垂症手術 1
眼窩内腫瘍摘出術 1
眼瞼結膜腫瘍手術 1
皮膚皮下粘膜下血管腫摘出術 1
陰茎尖圭コンジローム切除術 1
レックリングハウゼン病偽神経腫切除術 4
デブリードマン 1
合計 848件
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