皮膚にできたイボを見て、「これは大丈夫なのだろうか」「悪性の可能性はないのだろうか」と不安に感じたことがある方も多いでしょう。
イボは良性のものが多いですが、中には見た目が似ている悪性腫瘍が隠れていることもあります。そのため、自己判断で放置してしまうと、適切な対応が遅れてしまう可能性も否定できません。
この記事では、イボの良性・悪性の見分け方について詳しく解説します。イボに間違われやすい悪性腫瘍の種類や治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
イボには良性と悪性の2種類ある
皮膚にできるイボやホクロ、しこりなどは、医学的には「皮膚腫瘍」と呼ばれます。腫瘍と聞くと怖い印象を持つかもしれませんが、すべてが危険なものではありません。
多くは良性で命に関わることはありませんが、中には注意が必要な悪性のものも含まれます。
良性腫瘍と悪性腫瘍には以下のような種類があります。
| 皮膚良性腫瘍 | 皮膚悪性腫瘍 |
|---|---|
|
|
これらの皮膚腫瘍は見た目が似ている場合がありますが、性質が大きく異なるため、「いつもと違う」「急に大きくなった」「色が変わった」と感じた場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
イボの良性・悪性の見分け方
イボの良性・悪性を見分けるポイントは『硬さ』と『表面』の2つです。
ここではこの2つのポイントについてそれぞれ解説します。
硬さ
イボの硬さは、良性と悪性を見分ける際の一つの目安になります。
良性のイボは指で触るとやや柔らかく、ゴムのような弾力を感じることが多いです。軽く押すと、皮膚の上で少し動くような感覚がある場合もあります。
一方で、悪性の可能性があるイボは触ると硬く、表面がでこぼこしていることがあります。また、周りの組織と癒着しているため、押してもほとんど動かないのが特徴です。
急に硬くなった、以前より触り心地が変わったと感じた場合は注意した方がよいでしょう。
ただし、硬さだけで良性・悪性を断定することはできません。
表面
イボの表面の状態も、良性・悪性を見分ける際の重要なポイントです。
良性のイボは表面が比較的なめらかで、丸みを帯びていることが多く、色も肌に近い場合が多いです。
一方、悪性が疑われる場合には、表面にかさぶたができる、出血する、ジクジクした状態が続くなどの変化が見られることがあります。また、色が赤黒っぽくなったり、不均一になったりするケースもあります。
こうした変化がある場合は、早めに医師に相談することが大切です。
医師による診察・検査で正確に判断することが大切
イボが良性か悪性かを正確に判断するためには、医師による診察・検査が必要です。見た目や触った感じだけで判断しようとすると、見落としにつながる可能性があります。
医師は視診や触診を行って必要に応じて詳しい検査を行い、その結果をもとに、経過観察でよいのか、治療が必要かを判断します。
イボが急に大きくなった、色や形が変わったという場合だけでなく、気になるイボがある場合は自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
良性のイボの種類
良性のイボの代表的な種類として、以下の3つが挙げられます。
- 尋常性疣贅
- 青年性扁平疣贅
- 脂漏性角化症
ここでは上記3つの特徴について解説します。
尋常性疣贅
尋常性疣贅は、ウイルスが原因で起こる良性のイボです。
主に手足の指にできやすく、数mm程度の小さな隆起として現れることが多いですが、まれに2cm程度まで大きくなることもあります。
表面はやや硬く、触るとざらざらした感触があるのが特徴です。痛みはほとんどありませんが、場所によってはこすれて違和感が出ることがあります。
また、放置すると数が増えたり、別の場所に広がったりすることもあるため注意が必要です。時間の経過とともに自然に治るケースもありますが、気になる場合は皮膚科で相談すると良いでしょう。
青年性扁平疣贅
青年性扁平疣贅は、若い女性に多く見られる平らな形の良性のイボです。
思春期から若年層にできやすく、顔や首、手の甲など、目につきやすい場所に現れることがあります。
色は肌に近いものから、やや薄い茶色までさまざまで、シミと見分けがつきにくい場合もあります。表面はなめらかで盛り上がりが少なく、痛みやかゆみを感じることはあまりありません。
原因は尋常性疣贅と同じくウイルスによるもので、他の部位や人にうつる可能性があります。自然に目立たなくなることもありますが、周囲に広がる様子がある場合は早めに受診しましょう。
脂漏性角化症
脂漏性角化症は、年齢を重ねるにつれてできやすくなる良性のイボです。
いわゆる『老人性イボ』とも呼ばれ、顔や頭部など、紫外線の影響を受けやすい場所に多く見られます。
色は茶色から黒っぽいものまであり、形や大きさには個人差があります。シミのように見えるものが少しずつ盛り上がり、イボ状になるケースも少なくありません。
痛みやかゆみはほとんどなく、健康への影響は基本的にないとされています。そのため、治療をしなくても問題はありませんが、見た目が気になる場合には医師と相談のうえで除去を検討することもできます。
自然に消えることは少ないため、気になる変化があれば医師に相談すると良いでしょう。
イボに間違われやすい悪性腫瘍の種類
見た目がイボに似ていても、実際には悪性腫瘍であるケースも見られます。
イボと間違われやすい悪性腫瘍は以下の通りです。
- 有棘細胞がん
- 血管肉腫
- 悪性黒色腫
- 脂腺癌
- 汗孔癌
- 隆起性皮膚線維肉腫
悪性腫瘍は、進行や転移により命に関わる可能性があるため、気づいた段階で早めに医療機関を受診することが大切です。ここでは、上記6種類の悪性腫瘍についてそれぞれ解説します。
有棘細胞がん
有棘細胞がんは、顔や手の甲などの紫外線を浴びやすい部位にでき、イボと見間違われやすい皮膚の悪性腫瘍です。
皮膚の表面にある細胞から発生し、しこりのように盛り上がるため、最初はイボと区別がつきにくいことがあります。色は肌色から赤っぽい色までさまざまで、表面が硬く、乾燥したように見える場合があります。
進行すると少しの摩擦で出血したり、ジクジクした状態が続いたり、かさぶたが何度もできたりすることがあるのが特徴です。細菌感染によって悪臭を放つこともあります。
上記のような特徴がみられる場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
血管肉腫
血管肉腫は、血管の内皮細胞から発生する悪性腫瘍で、見た目がアザやイボのように見えることがあります。
特に高齢者の頭皮や顔周りにできやすく、赤黒い内出血のような色をしていることが特徴です。
境目がはっきりせず、皮膚の一部が腫れたように見えるため、最初は異変に気づきにくい場合があります。初期には痛みやかゆみがほとんどなく、自覚症状が乏しいまま進行することもあります。
時間とともに盛り上がりが強くなったり、出血を伴ったりすることがあるため、見た目が変わってきた場合は注意が必要です。
悪性黒色腫
悪性黒色腫は黒っぽい色をしているため、ホクロやイボと間違われやすい悪性腫瘍です。
別名『メラノーマ』とも呼ばれ、手足の末端部分に現れやすい特徴があります。悪性黒色腫を見分けるポイントは以下の通りです。
- 境界がぼやけている
- 色が混在している
- 大きさが6mm以上
- 表面が隆起している
- 形が左右非対称
色味や形状から「大きなホクロ」「色の濃いイボ」と思われがちですが、上記のポイントに当てはまる場合は悪性黒色腫の可能性があります。早めに医療機関を受診し、検査を受けましょう。
脂腺癌
脂腺癌は、皮膚の脂腺細胞から発生する悪性腫瘍です。膨らんだイボのような形をしており、特にまぶたや顔周りにできることがあります。
初期には目立った症状が少なく、ゆっくり大きくなるため、良性のイボだと思われやすい点が特徴です。次第に硬さが増したり、色が変わったりする場合があります。
まれに痛みや違和感を伴うこともありますが、はっきりした症状が出ないことも少なくありません。
他の臓器に転移することもある悪性腫瘍のため、長期間治らないイボがある場合は、放置せずに医療機関に相談することが大切です。
汗孔癌
汗孔癌は、エクリン汗腺(汗を出す管)の細胞が悪性化した腫瘍です。
顔や頭部にできやすく、小さなできものとして始まることが多いため、イボと見分けがつきにくい場合があります。
表面が赤っぽく、ぶつぶつとした見た目になることがあります。エクリン汗腺から発生する腫瘍は良性のものもありますが、良性の場合は痛みやかゆみを伴いません。
しかし、良性のものでも自然に消えることは少なく、まれに悪性化して汗孔癌に移行してしまう場合があります。
徐々に大きくなる・形が変わるといった様子が見られた場合は、悪性化している可能性があるため、早めに医師に相談しましょう。
隆起性皮膚線維肉腫
隆起性皮膚線維肉腫は、皮膚の深部にある線維組織から発生する悪性腫瘍で、イボのように見えることがあります。時間とともに少しずつ大きくなり、表面が盛り上がったり、色が変化したりするのが特徴です。
比較的ゆっくり進行しますが、変化が見られるイボがある場合は、自己判断せず医師に相談することが大切です。
イボの治療方法
イボの代表的な治療方法として、以下が挙げられます。
- 冷凍凝固法
- イボ剥ぎ法
- 炭酸ガスレーザー
- ピンセットによる除去
- スピール膏(サリチル酸絆創膏)
- 外用薬
- 漢方薬
ここでは上記7つの治療方法についてそれぞれ解説します。
冷凍凝固法
冷凍凝固法は、イボ治療として広く行われている治療方法です。
−196℃の液体窒素をイボに当て、細胞を冷凍させて破壊します。凍結と解凍を繰り返すことで、イボが徐々に小さくなり、自然に取れていく仕組みです。
治療は短時間で終わりますが、1回で完了することは少なく、1〜2週間おきに複数回通院する必要があります。
治療中に痛みを感じることがあり、治療後には水ぶくれや赤みが出る場合もありますが、時間とともに落ち着いていくことが多いです。
保険が適用される治療法で、子供から高齢者まで幅広い年齢の方に行われています。
イボ剥ぎ法
イボ剥ぎ法は、イボを直接取り除く外科的な治療方法です。
局所麻酔を行ったうえでイボを根元から切り取るため、1回の治療で完了しやすい特徴があります。すぐにイボを取り除きたい場合に選ばれやすい方法です。
ただし、処置後に傷ができる点には注意が必要です。場所によっては傷跡が目立つ可能性もあるため、見た目を重視する部位では慎重な判断が必要となります。
医師と相談しながら、他の治療法と比較して検討することが大切です。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーは、レーザーによる蒸発・蒸散によってイボを除去する治療方法です。
イボの部分だけを狙って処置できるため、周囲の皮膚への影響を抑えられるのが特徴です。また、局所麻酔を使用するため、治療中の痛みは軽減されます。
治療後に赤みが残ることがあり、完全に落ち着くまでに時間がかかる場合もあります。
基本的に保険が適用されない自由診療となるため、費用については事前に確認しておきましょう。
ピンセットによる除去
ピンセットによる除去は、水いぼなど一部のイボで行われる治療方法です。
専用のピンセットでイボを摘んで摘出する方法で、事前に麻酔テープを使い、痛みを和らげてから行われます。
処置後は小さな傷が残りますが、数日から数週間で目立ちにくくなる場合が多いです。
適応となるイボの種類が限られるため、医師の判断が重要となります。
スピール膏(サリチル酸絆創膏)
スピール膏は、イボの表面を柔らかくして少しずつ取り除く治療方法です。
サリチル酸という成分が角質をふやかし、厚くなった皮膚を剥がれやすくします。特に足の裏など、皮膚が硬くなりやすい部位のイボに使われることがあります。
保険適用の治療方法のため、比較的費用を抑えやすい点も特徴です。
外用薬
外用薬は、イボに直接塗って治療する方法です。
イボの表面を柔らかくしたり、皮膚のターンオーバーを促進したりする目的で使用されます。毎日コツコツと塗ることで、徐々にイボが縮小し、自然と剥がれ落ちることが期待されます。
ただし、すべてのイボに効果があるわけではなく、種類によっては効果が乏しい場合もある点には注意が必要です。
また、誤った使い方をすると皮膚トラブルにつながることもあるため、必ず医師の説明を受けたうえで使用しましょう。
漢方薬
漢方薬は、体の内側からイボの改善を目指す治療方法です。
代表的なものに、ハトムギ由来の成分を含む『ヨクイニン』という漢方薬があります。
イボに対する免疫を高めることにより、イボの自然消退を促す効果が期待できます。
効果が表れるまでに時間がかかり、一定期間飲み続ける必要がありますが、他の治療と併用されることも多い方法です。副作用が比較的少ないため、体への負担を抑えたい方に選ばれることがあります。
効果や治療期間については個人差があるため、医師と相談しながら進めることが大切です。
まとめ
イボの良性・悪性を見分けるためには、硬さや表面の状態をチェックすることが大切です。
しかし、これらは判断のヒントになることはあっても、これだけで断定することは難しいのが実情です。
悪性腫瘍の中にはイボに間違われやすいものもあるため、気になる場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
千里皮膚科では、イボの診断・治療に対応しています。幅広い治療方法の中から、患者様の状態に合った方法を提案可能なため、お悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
監修医師紹介
院長
花岡 佑真
経歴
- 2005年智辯学園和歌山中学校・高等学校 卒業
- 2011年大阪大学医学部 卒業関西労災病院 初期研修医
- 2013年関西労災病院 皮膚科
- 2015年大阪みなと中央病院 形成外科
- 2016年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 特任研究員(形成外科診療にも従事)大阪国際がんセンター 腫瘍皮膚科
- 2018年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 特任助教
- 2020年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 病棟医長
- 2021年10月千里皮膚科 開院
資格・所属学会
- 日本専門医機構認定皮膚科専門医
- 難病指定医
- 日本皮膚科学会所属
- 日本形成外科学会所属
- 日本皮膚外科学会所属
- 日本皮膚悪性腫瘍学会所属
- 日本美容皮膚科学会所属
