イボとホクロは見た目が似ているため、「これはイボなのか、それともホクロなのか」と迷う方も多いでしょう。
表面の質感や色の濃さなど、ある程度の目安はありますが、実際には見分けが難しいケースも少なくありません。
さらにイボやホクロに見えても、まれに悪性腫瘍が隠れていることもあるため、自己判断で放置するのは注意が必要です。
この記事では、イボとホクロの見分け方について詳しく解説します。それぞれの検査・治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
イボとホクロの違い
イボとホクロは似たような見た目をしていますが、表面の質感や色の濃さ、原因などに違いがあります。
表面がザラザラしていたり少し硬さを感じたりする場合はイボ、表面がなめらかでつるっとしており、色がはっきりと黒っぽい場合はホクロの可能性が高いでしょう。
ここではイボとホクロそれぞれの種類・原因・見分け方について解説します。
イボとは
イボとは、皮膚の一部が盛り上がり、表面がザラザラとしている良性の皮膚病変です。
イボは大きさや形、色にさまざまな種類があり、肌色に近いものから淡い茶色、やや濃い色のものまで見られます。触ると硬さを感じたり、表面がゴツゴツしていることも少なくありません。
できる部位は手足だけでなく、首や顔、体の広範囲に及ぶことがあります。
イボができる原因
イボができる原因は、大きく分けてウイルスによるものと、加齢や刺激によるものの2つがあります。
ウイルス性のイボは、皮膚にできた小さな傷からウイルスが入り込むことで発生するものです。
プールやジム、家庭内でのタオルの共用など、間接的な接触がきっかけになることもあります。感染してからすぐに現れるわけではなく、数か月後に目立ってくる場合もあるため、原因を特定しにくい点が特徴です。
一方、非ウイルス性のイボは、長年の紫外線の影響や皮膚の老化、衣類やアクセサリーによる摩擦などが関係します。年齢を重ねるにつれて増え、紫外線にさらされる部位や摩擦の生じる部位にできやすい傾向があります。
イボの種類
イボには複数の種類があり、原因や見た目に違いがあります。
代表的なものがウイルス感染によって生じるウイルス性のイボで、以下のような種類があります。
| 尋常性疣贅 | 表面がザラザラしており、肌の色~白っぽく隆起していることが多い。手のひらや足の裏によく見られる |
|---|---|
| 青年扁平疣贅 | 平らな見た目をしており、おでこや手の甲によく見られる |
| 尖圭コンジローマ | 先端が尖った乳頭状のイボ。性感染症の一つで、亀頭・外陰部・肛門周辺によく現れる |
| ミルメシア | ドーム状に盛り上がり、中心部がくぼんでいるのが特徴。手のひらや足の裏によく見られる |
| 伝染性軟属腫(水いぼ) | 伝染性軟属腫ウイルスの感染により発症するもので、表面がつやつやとした粒々の丘疹となっている。かゆみを伴うことが多い |
手や足の裏にできやすく、表面が硬くザラザラしているのが特徴です。
一方、加齢や紫外線が関係するイボとしては、いわゆる『老人性イボ』と呼ばれるものがあります。中高年以降に増えやすく、顔や首など日光を浴びやすい場所にできやすい点が特徴です。
また、非ウイルス性のイボには以下のような種類があります。
| 老人性疣贅(老人性イボ/脂漏性角化症) | 中高年~高齢者に多く見られるもので、茶色・褐色に盛り上がった見た目をしている。紫外線が当たりやすい顔面や頭部によく見られる |
|---|---|
| 軟性線維腫(スキンタッグ・首イボ) | 加齢・紫外線・摩擦による刺激が原因で起こるもので、皮膚の薄い場所によく見られる |
| アクロコルドン(首イボ・脇イボ・胸イボ) | 摩擦の刺激によって現れるイボで、30代以降によく見られる |
このようにイボにもさまざまな種類があるため、見た目だけで判断せず、気になる場合は医師に相談することが大切です。
ホクロとは
ホクロとは、メラニンを生成する細胞である母斑細胞の増殖によって生じるものです。
ホクロは医学的には色素性母斑と呼ばれ、円形や楕円形で境界が比較的はっきりしていることが多いです。
平らなものから、少し盛り上がったものまで形はさまざまで、年齢とともに数が増えたり、盛り上がってくることもあります。表面はなめらかで、触ってもざらつきを感じにくい点が特徴です。
色は薄い茶色から黒に近い色まで幅がありますが、特に黒っぽくはっきりした色合いのものはホクロである可能性が高いでしょう。
ホクロができる原因
ホクロができる主な原因は、紫外線や生活習慣などによってメラニン色素の生成が活発になることです。
紫外線を多く浴びると、肌を守るためにメラニン色素が作られやすくなり、ホクロが増えやすい状態になります。屋外で過ごす時間が長い方や、紫外線対策をあまり行っていない方は注意が必要でしょう。
また、睡眠不足や栄養の偏りなど、生活リズムの乱れも影響します。肌のターンオーバーが乱れると、メラニン色素が排出されにくくなり、ホクロやシミとして残りやすくなるのです。
さらに、ホルモンバランスの変化や皮膚への刺激も、ホクロができやすくなる要因と考えられています。
ホクロの種類
ホクロは、できる場所や見た目の特徴によって以下の4つに分類できます。
| ホクロの種類 | 好発部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| Unna(ウンナ)母斑 | 胸・お腹・背中 |
直径1cm程度で、柔らかいしこりのような感触がある 黒~茶褐色が多い |
| Miescher(ミーシャー)母斑 | 顔~頭皮 |
膨らみがあり、毛が生えていることもある 年齢とともに徐々に薄くなっていく |
| Spitz(スピッツ)母斑 | -(若年層に多い) | 赤~黒色が多く、急に巨大化することがある |
| Clark(クラーク)母斑 | 体幹・手足 |
直径1cm以下の小さなものが多く、平坦で楕円形の見た目 中央がやや濃く、外側にかけて色が薄くなっている場合が多い |
ホクロは小さく目立たないものが多いですが、生まれつき大きいホクロや短期間でサイズが変わるものは注意が必要です。自己判断が難しい場合は医師に確認してもらいましょう。
イボとホクロの見分け方
イボとホクロを見分けるポイントは、色の濃さ・表面の手触り・痛みやかゆみなどです。
| イボ | ホクロ | |
|---|---|---|
| 色味 | 肌色~白~黒色 | 茶色~黒色 |
| 表面の見た目・感触 | ザラザラ・硬い | なめらか・盛り上がっていることもある |
| 数 | 増えやすい | 基本的に単発で現れる |
| 痛みやかゆみ | 出ることもある | 基本的にはなし |
ホクロは黒っぽく色がはっきりしており、触るとつるっとしていることが多いですが、イボは肌色から淡い茶色で、表面がザラザラしていたり硬さを感じたりすることがあります。
数の増え方にも違いがあり、イボは増えやすかったり部位によっては広がったりすることがありますが、ホクロは基本的に単発で現れます。
ただし、イボ・ホクロどちらであっても、形がいびつになったり、色が急に変わったりする場合は注意が必要です。
気になる変化があるときは、早めに医療機関で相談することをおすすめします。
イボやホクロと間違えやすい悪性腫瘍
イボやホクロと間違えやすい悪性腫瘍として、以下が挙げられます。
- 有棘細胞がん
- 悪性黒色腫
- 血管肉腫
- 脂腺癌
- 汗孔癌
- 隆起性皮膚線維肉腫
ここでは上記6つの悪性腫瘍についてそれぞれ解説します。
有棘細胞がん
有棘細胞がんは、皮膚の表面にできる悪性腫瘍の一つです。
手の甲や顔など、日光を浴びやすい場所に発生しやすい点が特徴です。はじめは小さな盛り上がりとして現れるため、初期にはイボに見えてしまうこともあります。
しかし、表面がジクジクしてきたり、悪臭を伴ったり、同じ部位で繰り返しできる場合は注意が必要です。気になる症状が続く場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
悪性黒色腫
悪性黒色腫は、ホクロに似た黒いできものとして現れることが多く、見分けが難しい悪性腫瘍の一種です。
メラニンのもととなるメラノサイトが関係しているため、黒や濃い茶色など、はっきりした色合いになることがあります。
形が左右で違う、色がまだら、境界がぼやけている、急に大きくなる、出血するといった特徴がみられる場合は、悪性黒色腫の疑いがあります。ホクロの様子が以前と変わってきたと感じた場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
血管肉腫
血管肉腫は、血管の内皮細胞から発生する悪性腫瘍で、赤紫色の盛り上がった腫瘍として現れることがあります。
時間が経つにつれて色が濃くなったり、範囲が広がったりすることがあり、出血しやすくなる場合もあります。
急速に進行することもあるため、「見た目が変わってきた」「なかなか治らない」と感じたときは注意が必要です。
脂腺癌
脂腺癌は、皮膚の脂腺細胞から発生する悪性腫瘍で、イボのように盛り上がったできものとして見られることがあります。
見た目が良性のイボやしこりに似ているため、初期の段階では気づきにくい場合があります。まぶたや顔などにできることがあり、表面が硬く、色が徐々に変わる点が特徴です。
イボのようなできものの見た目が変わってきた場合は、自己判断せず医療機関で相談しましょう。
汗孔癌
汗孔癌は、エクリン汗腺(汗を出す管)が悪性化したもので、赤くぶつぶつした盛り上がりとして見られることがあります。
エクリン汗腺から生じるものは良性腫瘍のものもありますが、まれに悪性化して汗孔癌になる場合があります。痛みやかゆみをほとんど感じないため、気づくのに遅れることも少なくありません。
隆起性皮膚線維肉腫
隆起性皮膚線維肉腫は、皮膚の深部にある線維組織から発生する悪性腫瘍です。
初期は皮膚の奥に小さなしこりとして触れる程度ですが、時間とともにしこりが大きくなり、硬さが増して皮膚から突出するようになることがあります。
他の部位に転移する場合もあるため、隆起性皮膚線維肉腫の疑いがある場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
イボとホクロの検査方法
イボとホクロの検査方法には、以下の2種類があります。
- ダーモスコピー検査
- 皮膚生検・病理組織検査
ここでは上記2種類の検査方法についてそれぞれ解説します。
ダーモスコピー検査
ダーモスコピー検査は、ダーモスコープという皮膚専用の拡大鏡を使用して、イボやホクロを詳しく観察する検査方法です。拡大して見ることで、肉眼では分かりにくい色の分布や皮膚の構造などを確認できます。
この検査は皮膚に器具を当てるだけで行えるため、痛みはありません。短時間で終わり、その場で状態を確認できる点も特徴です。
良性のイボやホクロに多い所見と、注意が必要な所見を見分ける手がかりになるため、診察の初期段階で広く用いられています。
皮膚生検・病理組織検査
皮膚生検・病理組織検査は、より詳しい観察が必要な場合に行われる検査です。
皮膚生検はイボやホクロの一部、または全体を小さく切り取り、その組織を調べる方法です。採取した組織は顕微鏡で観察され、細胞の状態から良性か悪性かを判断します。
検査は局所麻酔を行ったうえで実施されるため、強い痛みを感じることはほとんどありません。
切り取る大きさは数ミリ程度で、必要に応じて縫合することもありますが、傷跡は目立たないことが多いです。
イボの治療方法
イボの主な治療方法として、以下が挙げられます。
- 冷凍凝固法
- イボ剥ぎ法
- 炭酸ガスレーザー
- ピンセットによる除去
- スピール膏(サリチル酸絆創膏)
- 外用薬
- 漢方薬
ここでは上記7つの治療方法についてそれぞれ解説します。
冷凍凝固法
冷凍凝固法は、液体窒素によってイボの細胞を凍らせて破壊する治療方法です。
イボ治療の中でも特に一般的な治療方法で、子どもから高齢の方まで幅広く使われています。
治療後は赤みや水ぶくれができることがありますが、時間が経つとかさぶたになり、自然に治っていくことが多いです。1回で完全に取れない場合も多く、基本的に複数回の治療が必要となります。
イボ剥ぎ法
イボ剥ぎ法は、局所麻酔を行ったうえでイボを外科的に取り除く治療方法です。
イボを根元から切除するため、1回の治療で終わる可能性がある点が特徴です。
ただし、処置後は傷ができるため、傷跡が目立ちやすい部位は慎重に検討する必要があります。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーは、レーザーの熱を使ってイボを除去する治療方法です。
出血が少なく、周囲の皮膚への影響を抑えながら処置できる点が特徴です。
局所麻酔を行ったあとに治療を行うため、処置中の痛みは軽減されます。イボの大きさに合わせて必要な部分のみを除去するため、傷跡が比較的目立ちにくいのもポイントです。
基本的に保険が適用されない自由診療となるため、治療費については事前に確認しておきましょう。
ピンセットによる除去
ピンセットによる除去は、主に水いぼなどに用いられる方法です。
ピンセットでイボを摘んで取り除くため、短時間で処置が終わる点が特徴です。
麻酔テープを使用してから処置を行うため、治療中の痛みは抑えられます。施術後は小さな傷が残ることがありますが、数日で目立たなくなることが多いです。
スピール膏(サリチル酸絆創膏)
スピール膏は角質を柔らかくする成分を含んだテープ状の薬で、特に足裏のウイルス性のイボに使われることが多い治療方法です。
小さく切ったスピール膏をイボに貼り、毎日交換することで、硬くなった皮膚がふやけて少しずつ取れていきます。
根気よく続ける必要がありますが、自宅で治療を進められる点が特徴です。使用方法や期間については、医師の指示を守りましょう。
外用薬
外用薬は、イボに直接塗ることで作用する治療方法です。
角質を柔らかくしたり、皮膚のターンオーバーを促進したりする目的で使われます。
毎日決められた回数を塗り続けることで、イボが次第に柔らかく、取れやすくなっていく効果が期待できます。
漢方薬
漢方薬は、体の内側から働きかけることでイボの改善を目指す方法です。
イボ治療では、ハトムギ由来の成分を含む『ヨクイニン』という漢方が使われることがあります。イボに対する免疫を高めることで、自然消退が期待される方法です。
体質や症状に合わせて処方されるため、自己判断で市販薬を使うのではなく、医師に相談したうえで取り入れることをおすすめします。
ホクロの治療方法
ホクロの治療方法は主に以下の2つです。
- 切除法
- 炭酸ガスレーザー
ここでは上記2つの治療方法についてそれぞれ解説します。
切除法
切除法は、メスなどを使ってホクロを皮膚ごと取り除き、縫い合わせる治療方法です。
局所麻酔を行ったうえで処置するため、治療中の痛みはほとんどありません。ホクロを根元からしっかり切除するため、再発の可能性が低い点が特徴です。
また、取り除いた組織を詳しく調べることができるため、悪性の疑いがある場合や診断をはっきりさせたい場合にも選ばれることが多い方法です。
処置後は傷跡が残りますが、時間の経過とともに目立ちにくくなっていきます。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーは、レーザーの熱を利用してホクロを除去する治療方法です。
出血がほとんどなく、必要な部分だけを処置できるため、周囲の皮膚への負担が少ない点が特徴です。局所麻酔を併用することで、治療時の痛みも抑えられます。
ホクロの深さによっては一度で取りきれないことがあり、基本的に複数回に分けて治療する場合が多いです。
保険適用の可否はケースによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
イボとホクロは見た目が似ていても、できる原因や特徴、治療方法が異なります。
基本的に表面がザラザラして淡い色のものはイボの可能性があり、つるっとして色が濃いものはホクロである場合が多いです。
ただし、見た目だけでは判断が難しい場合もあります。イボやホクロと似た悪性腫瘍もあるため、自己判断で放置するのではなく、気になる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
千里皮膚科では、イボやホクロの診断・治療に対応しています。患者様の状態に適した治療方法の提案が可能なため、イボやホクロにお悩みの場合はぜひ当院までご相談ください。
監修医師紹介
院長
花岡 佑真
経歴
- 2005年智辯学園和歌山中学校・高等学校 卒業
- 2011年大阪大学医学部 卒業関西労災病院 初期研修医
- 2013年関西労災病院 皮膚科
- 2015年大阪みなと中央病院 形成外科
- 2016年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 特任研究員(形成外科診療にも従事)大阪国際がんセンター 腫瘍皮膚科
- 2018年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 特任助教
- 2020年大阪大学大学院医学系研究科皮膚科 病棟医長
- 2021年10月千里皮膚科 開院
資格・所属学会
- 日本専門医機構認定皮膚科専門医
- 難病指定医
- 日本皮膚科学会所属
- 日本形成外科学会所属
- 日本皮膚外科学会所属
- 日本皮膚悪性腫瘍学会所属
- 日本美容皮膚科学会所属
